敷地周辺の色彩調査

三重県の鈴鹿市で進めているプロジェクトの一環として、敷地周辺の色彩調査を行いました。周辺地域は小さな港のある漁村の雰囲気を残す集落なのですが、計画中の建物の規模が周辺の住宅とは規模が異なり大きいため、周辺地域との調和を図ることを目的として行いました。

昭和22年にアメリカ軍によって撮影された航空写真を参考に調査エリアを決めました。南北500m、東西200mくらいのエリアで、北の端と南の端にそれぞれ神社がありましたので、その間を歩きました。

色の採取には、CUBEという簡易測色ツールと日本塗料工業会のサンプルを使用しました。

まずは北にある深田神社に行って木造の門柱の色や、壁の漆喰、灯籠の石、タタキの床など、さまざまな部分の色を採取しました。ここだけでもう充分なんじゃないかと思うくらい多くの色彩採取をすることができました。

その後、海沿いを堤防沿にあるきました。堤防はコンクリートなので、なんとなくグレーをイメージしていましたが、よく見てみると実際は黒に近い色でした。コンクリート自体が少し黄色っぽいからか、YR系の色でした。

色彩だけでない発見もありました。集落に残る古い住宅の外壁材は「コアしぶき」というそうです。全く意味が分からなかったのですが、「しぶき」とは外壁のことを言うらしく、そして丸太の外側のことをなぜか「コア材」ということを聞いたことがあるので、「コア材の外壁」という意味で「コアしぶき」というのではないかなと勝手に推測しています。

南側の端である浜田神社に到着して、ここでも柱や壁の色を採取しました。もうこのあたりまでくると、すでにアースカラーがたっぷりと集まっていましたので、主に見学。

途中、昔酒蔵だった大きな建物がありました。このくらいの規模の木造建築は迫力がありますね。なんとかうまく生かせないかと思いますが、老朽化が激しいから難しいかな。。。外壁がところどころ剥がれていて、そこから覗く土壁の色はこの集落に共通の黄色味がかった土でした。参考になります。

最後は近い将来取り壊されてしまう事務所棟ですが、一部を新しい建物に移植することにしています。歴史を少しでも引き継ぎながら、周辺地域に馴染むような計画にすべく行った色彩調査でしたが、思った以上の成果があったと思います。今後もこういった調査をする機会があれば、積極的にやっていきたいと思います。

 

 

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