建築家は建物を一人では建てる事ができません。少なくとも施主(建て主)と施工業者、建築家(設計者)の三者がいないと建物を建てられません。建築家はこの三者の共同プロジェクトをうまく進めていくことで、初めて建物を作る事ができます。
つまり建築家には、建築物を設計する能力だけでなく多くの人が関わるプロジェクトをうまく進めていく能力、プロデュース能力が必要になります。建築家は建築を通して人と人をつないで仕事を進めていくと言えます。
また、建築は無数の材料の集合体と考えることができます。建物の使い勝手や法律、予算などを考えながら、さまざまな材料をどのように組み合わせるのかを考えるのが建築の設計です。
このように考えると、建築は人と人だけでなく、ものともの(さまざまな材料)をつなげる媒体であると考えることができます。建築を通してたくさんの「人」と「もの」のつながりを作ることができるのです。
一方で、建築家は施主に対してどのような人とどのような材料を使って、どうやって建物を建てるのかについて、十分に吟味して説明をする必要があります。
施主に対して良いものをおすすめしたいという思いは、実際に「人」に会ってお話しを聞いて、その人がつくった「もの」を使った建築を作ることにつながります。信頼できる施工業者とともに、実際に見て聞いて材料を吟味できる「国産」の材料にこだわった建築を作っていきたいと思います。
2020年 初夏 海田修平