三重県の鈴鹿市で関わらせて頂いている「作」で有名な日本酒の蔵元、清水清三郎商店さんのプロジェクトです。第三期となる事務所棟が完成しました。
事務所棟は最後まで敷地内に残っていた古い木造の事務所の建て替えのプロジェクトでした。1階は主に執務スペースで、2階が来客を迎えるスペースとなっています。
エントランスの車寄せ庇の軒天には、詰口棟と同じく熊野の野地木材工業さんの杉板を貼って、建物同士の調和を図っています。建物は2階建てなのですが、1階の床を上げているので、詰口棟と同じくらいの高さとなっています。
津波避難施設とするため構造をRCとしましたが、敷地内建物との調和を考え、2階部分の外壁を板金で仕上げました。建物のボリュームを抑えるために屋根に勾配を付けたため2階が屋根裏のような印象となりました。
敷地の奥から見ると軒天の連続がモノトーンで無機質な工場に暖かさを与えていることが分かります。
また、1階部分のコンクリートを打放しとすることによって、原料処理棟との連続性も持たせました。
この事務所棟の手すりも木にしています。今回は打放しの壁にいい感じで納まっています。この建物には熊野スギの他にも三重県産の材料を使ったカウンターや建具などがあり、各所にさまざまなストーリーを持たせています。
この建物での新たな出会いをきっかけに、「作」が世界中に発信され、多くの方に知っていただけることを願っています。