萬古焼の粋

平成30年の9月29日(土)から平成31年の2月3日(日)まで四日市にある「ばんこの里」会館で、BANKO300thの展示企画「萬古焼の粋」が開催されました。(写真:松原豊)

展示空間を作るためにまず考えたのは、デザイン密度の濃い「ばんこの里会館」をどうすれば展覧会空間として変貌させるかということでした。中途半端なことではダメだと。そこで、萬古焼の工場で見た桟板をヒントに、三重県産の杉を徹底的に使うことにしました。

壁の材料、什器の材料として杉を貼りまくりました。源平(木の中心部分の赤い部分と外側の白い部分が混ざった状態)の杉がどう受け止められるか心配でしたが、節がなく非常に美しかったこともあり、会館のデザインに負けないインパクトを出せたと思っています。

倉庫だった部分を畳敷にして、掛け軸をかける空間としました。小さい入り口から入るか、小窓からのぞけるようになっています。

萬古焼が時代によってどのように変わってきたか、分かりやくす分類された展示で、一つ一つをしっかりと見られる展示だったように思います。

もうひとつの倉庫は、ドクロと天使(キューピー)を展示する空間となっています。プロデューサーの内田さんのイメージ通り、真っ黒な空間と真っ白な空間が真っ二つに別けられています。

展示のボリュームとしては急須が圧倒的に多く、メインビジュアルも急須となりました。急須といっても現代のものよりも小さく、精緻な技術が施された素晴らしいものでした。

急須の他にもう一つ萬古焼といえば土鍋です。土鍋は耐熱陶器で調理器具としての側面が大きいので、土鍋を囲む食卓のイメージとして展示されています。

1階のエントランス正面の階段に設置された什器も杉板で覆いました。この杉板が3階の展示室まで続き、空間イメージをつなぐ重要な役割を果たしています。

展示物が3階だけでは納まりきらず、1階も展示室として使うことになりました。床のビニールタイルを剥がして、壁には杉板を貼りました。

3階の展示室以外の杉は残るようですので、今後はばんこの里会館が木育の発信基地として機能するようになるらしいです。たくさんの人が来てくれるといいな。

 

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