中勢自動車学校二期棟の吹抜けに面した大きな壁は三重県の国指定伝統工芸品である鈴鹿墨を混ぜた漆喰で仕上げました。
鈴鹿墨は中勢自動車学校にほど近いところで作られており、以前から建築に利用したいと思っていたところ、今回ついに建築でつながりました。
鈴鹿墨を墨汁にしていただものを漆喰に混ぜて塗ってもらうのですが、鈴鹿の左官職人の杉本さんには、いくつかサンプルを作っていただいて色の濃さを決定しました。
濃い方が墨漆喰らしさが出ると思いましたが、空間として暗くしたくないという施主の希望から薄めの色になりました。
色が薄いため色むらがかなり出ると聞いてはいましたが、この色むらが良い味を出しています。驚いたことに、部分的に綺麗な墨色になってきていました。少し青みがかった美しいグレーに。
梁や手すりなどの木部との相性も良く、職人さんの手によって付けられた模様は抽象絵画のようなゆらぎが心地よさがあります。
南側の高窓からの光はこの壁に沿って下階へと注がれます。日々の天候や時間によって光の強さや方向が変化し、壁はさまざまな表情を見せてくれます。
地域を大切にしている自動車学校に、地域に誇れるものができたと思います。ありがとうございました。