清水清三郎商店プロジェクト(1期〜3期)

三重県鈴鹿市にある酒蔵のリニューアルプロジェクトに関わらせていただきました。営業をしながら少しずつ建て直していくプロジェクトでしたので、長い時間がかかりましたが、本社の建替を終えて1段落となりました。(写真は全てトロロスタジオさん)

「作」と「鈴鹿川」という銘柄の日本酒を造っている清水清三郎商店さんのリニューアルプロジェクトで、1期工事(倉庫と瓶詰め棟)2期工事(原料処理棟)3期工事(本社棟)までの基本計画とデザイン監修をさせていただきました。

倉庫や原料処理棟は工場としての機能的な側面が大きいですが、建物全体のボリュームや形状、色彩については近隣の街並みに配慮しましたし、また、建物間の外部空間についてもスケールや素材について吟味しながら全体計画をまとめていきました。

建物それぞれは機能も規模も異なりますが、全体として統一感を出すため、軒天に三重県産のスギ板を貼りました。殺風景になりがちな工場ですが、木を貼ることによって柔らかい雰囲気になっていると思います。

本社の車寄せの壁にもスギ板を貼っています。風除室の壁には酒瓶をリユースしたガラス作品が埋め込まれています。

内部ではさまざまなところに三重県にゆかりのある素材を使いました。ホール入り口の扉と把手は伊勢神宮の境内にあったヒノキ の一枚板を仕立てたものです。

ホールにはバーカウンターと厨房が設けられており、ここで日本酒にあった料理を楽しむ会が開かれるそうです。壁や天井の一部にも三重県産のヒノキ を使いました。カウンターは三重県産のスギの一枚板です。

応接室には前の本社に使われていた木材を利用した巨大な照明器具が吊り下げられています。写真には写ってませんが、、、古い建具も移設しました。

明治から続く酒蔵の歴史を引き継ぎつつ、新しい日本酒の未来へ向けて、酒蔵がどうあるべきかを考えながらの設計でした。「日本酒だけ頑張っても日本酒は売れない、料理や器、日本の文化全体が売れてこそ、日本酒が売れるんだ。」と社長は言います。この建物がさまざまな活動を通して、多くの人が集まる場になることを期待しています。