三重県鈴鹿市の古民家を改修しました。玄関とリビング、ダイニング、キッチン、水周りのみの改修なので、あという間と思ってましたが、これがなかなかの工事でした。
着工に到るまでの設計にも時間がかかりましたが、解体が始まったのが2019年の11月でしたので、、、工事には15ヶ月くらいかかったことになりまます。
解体前は洋室だったところを、そのまま洋室として改修するつもりだったのですが、、、解体してみると立派な梁が出てきたので、これを再び隠してしまうのはもったいないと思ってしまったのが、まず最初のスタックでした。。。
石膏ボードの下地用の欠き込みを全て埋木すると大工さんが当然のように言い出し、細かいところまで全て埋木をするのにかなりの時間、数ヶ月かかってしまいました。。。
もはやアートのような埋木です。あえて色合わせをすることもなくこのままです。
解体してみると、古い住宅なので下地は石膏ボードなどではなく、、、土壁の下地は木ズリ下地でした。設計では壁の仕上げを漆喰塗り、下地を石膏ボードにしていたのですが、左官職人の杉本さんが「下地は石膏ボードでなく、木ズリ下地にしたい」と言い出しました。。。これが2回目のスタック。
地元の大工さんは、春になると田植えで忙しいようで、のんびりした現場だったこともあり。。。
お盆をすぎた頃にようやく左官屋さんのための下地が完成しました。ここから壁の左官工事だったわけですが、漆喰を厚く塗るので乾燥期間も取らないとというわけで、あっという間に3ヶ月。。。
ようやく塗り上がった漆喰はしっとりと美しい肌で、土壁のもったり重い空間が、凛とした美しく引き締まった空間に生まれ変わったような気がしました。
床材は、三重県熊野市の野地木材工業さんのスギです。当初はヒノキを考えていましたが、施主の奥様と熊野まで行って野地さんの話を聞いているうちにスギに決まりました。スギの柔らかさと暖かさがポイントでした。
今回の改修の目的は老朽化した水周りの更新でしたので、キッチンの配置を思い切り変えてアイランドキッチンにしました。キッチンは、四日市に本社を置くマインドさんに作ってもらいました。
キッチンとバックカウンターにどんな面材が良いのか、マインドさんと話をするうちに、少しでも国産の天然素材を使いたい思いが強くなり、、、お金の許す範囲で素材を探したところ、お隣の奈良県の竹田木材工業所さんの竹の突板に出会いました。その模様はこちらのブログにもアップされています。竹もうまく使いたい素材です。
床材以外の材料も大工さんにはできるだけ三重県のものを使ってもらいました。左官下地には伊賀の土を使っています。僕が探して、実際に話を聞いて、見て確認した良いものを使って良い職人さんと一緒に作った住宅となりました。ここで美味しいお酒が飲みたいな。