池上の長屋

大田区池上の3戸からなる長屋です。大きな敷地が5つに分割されて分譲された2区画をオーナーが購入し、長屋として計画されました。住宅が密集する地域のなかでひときわ明るい白い長屋です。

オーナーは当初、いくつかのハウスメーカーや工務店からの提案を検討したようで、設計は工務店が作成した提案書とオーナーのイメージ写真を渡されたところから始まりました。

オーナーの要望が分からなかったので、一旦、無難に3戸の住宅が連なったような長屋を提案しました。敷地の規模と住戸の規模がぴったりだったので、問題ないように思いましたが、オーナーと打合せを進めてくにしたがって、メゾネット1戸と1階と2階に1戸ずつという構成に落ち着きました。

オーナーのイメージは木と漆喰を使った素材感のある建物でしたので、構造材として国産材、もしくは多摩産材を使ったらどうかと提案させて頂きました。折しもウッドショックで外国産材の価格が高騰していたこともあり、運良く多摩産材で進めることができました。

そうなると、もちろん構造体が見えるような内装にしたかったのですが、、、運悪く敷地が東京都が条例で定めた新たな防火規制地域に該当していたため、建物を準耐火建築物にする必要があり、費用のことも考慮して構造体を見せることを断念せざるを得ませんでした。。。

それでも内装には木をできるだけ使うこととしました。しかも樹種に気を使いながら。床については国産のナラフローリング、階段の段板もナラの集成材とし、樹種を合わせることで木目や色を合わせています。

キッチンも木製のキッチンです。多摩産のヒノキを使っていますが、棚は集成材で、樹種をヒノキとして色を合わせています。

手すりや開口の枠、扉も木にして全体的に柔らかい印象の内装としました。

1階の住戸は玄関を広くして、バリヤフリーの住戸としました。玄関と廊下の床はフラットです。

2階の住戸は勾配屋根を利用した天井の高い空間としています。

元々あったいちょうの木をなんとか残して計画しました。白い外壁が木々の背景となって美しい景色となることを期待しています。