東京の郊外に計画された三世帯住宅である。1階にはおばあちゃんと施主夫妻、2階には施主の娘家族が暮らす。3階はそれぞれが自由に使うスペースとなっている。
構造はRCの壁構造で、一部タイル貼りの打放し仕上げとしている。タイルは国産のものを選び、アプローチの床タイルと外壁タイルの表情を合わせている。外部で使用できる床タイルは外国製のものが多いため、国産のものは選択肢が少なくオーソドックスなものしか見当たらないが、数世代の家族が住む日本の住宅には日本の土で作られたタイルが相応しいと考えた。結果、RCの打放しという無機質なイメージを持った建物に、暖かい雰囲気を持たせる事ができた。
内部空間にもできるだけ、コンクリートの打放し壁を設けた。外部における仕上げのコントラストを内部でも作り出すためである。
1階の廊下にはおばあちゃんのための手摺を設けたが、これは元々建っていた建物の梁を再利用したものである。奇麗な柾目が出ているので、大きくて立派な材であったのだと思う。同様に、1階の和室にも古い欄間を再利用している。昔の家の記憶を少しでも継承できたことは、新しい家が愛着をもって家族に迎えられるためのきっかけになるであろう。四世代が仲良く暮らせる家になることを期待している。