中勢自動車学校一期棟

三重県鈴鹿市にある中勢自動車学校の建替プロジェクトの第一弾となります。建設費の高騰と環境のことを考慮して木造で建てることを提案しました。もちろん、構造材から造作材まで三重県産の木で作りました。

今回の建物は一期工事で、この建物の東側に二期棟が建つ予定となっています。工事が二期に分かれ、別棟で建つことから全体のイメージを統一できるような建物ボリューム形状を考えました。また、南側に建っている既存のフラットな屋根の建物を残して再利用することから、既存との関係を考慮した結果、北側をゆるやかな勾配屋根とし、南側をフラットな屋根とすることにしました。

建物の風除室にはポーチの軒天から連続するようにスギの板を貼りました。スギ板は壁にも貼られ、訪れた生徒さんをやさしく迎えています。この建物は高齢者講習棟なので、内装は穏やかな柔らかなイメージを意識しました。

床も同様にポーチのリサイクルウッドデッキが続いています。

エントランスホールには受付があります。階段の一角に受付カウンターを設けることとなったため、受付カウンターをL型の階段と一体化したものと見えるようにデザインしました。

階段の壁は120角の化粧柱ですが、これがカウンターの腰壁にまで連続しています。階段も含めて巨大なヒノキの造作に見えるように、構造と意匠の境界が分からないような連続性をもったものとしました。

エントランスの階段を上がると、天井が一段と高くなっている部分を横断するような照明器具が見えます。一見梁のように見えるような照明器具を作りました。吹き抜けの窓と高い位置の窓、ハイサイドライトのおかけですごく明るい空間です。

教室にはホワイトボードやモニターを置くため、できるだけ壁が必要でしたのであまり窓を設けることができませんでした。北側の教室にできるだけ光を届けるため、高い位置に窓を設けて南側のハイサイドライトの光が届くように計画しました。

階段上部から連続する木製の照明器具は屋根の勾配なりに低く設置し、空間の親密性、落ち着きがでるように考慮しました。

南側の狭い教室も天井が高く、ハイサイドライトの光で満たされた空間となっています。この光が北へ北へと届くように計画しました。

1階の教室も同様に窓の少ない空間ですが、こちらは2階の床を支えるための大きな集成材の梁が印象的な空間です。集成材の間に木製の照明器具を配しています。非常に均整の取れた空間に仕上がりました。

木造の建物なので、比較的安価な既製品のアルミサッシを使うことができるのもメリットの一つです。規格サイズの中で窓を割り付ける必要があるので、あまり巨大な窓はできないのですが、印象的なエントランス空間が作れたように思います。

今後、二期工事、三期工事と続きますので、ひとつずつ、丁寧に積み重ねていきたいと思います。