川崎大師からほど近い場所の集合住宅である。オーナーは古くからこの地で商売をしており、敷地は元々住んでいた場所であった。世代交代の為に新たに集合住宅を計画し、最上階にオーナーとして住むこととなった。
川崎市の商業地域は高さ15mまでは日影規制がかからず近隣説明も必要ないため、階高を抑えながら15mに納めたが、南側からの車庫を計画する為に間口を広く確保する必要があり、構造的には厳しい計画となった。
オーナーの希望で外観の仕上げをコンクリートの打放し仕上げとしたため、共用部や賃貸の住戸のイメージもややハードなイメージとなっている。コンクリートの打放しで造形的な表現を試みたが南側のバルコニー部分でなんとか綺麗に見せることができたように思う。
賃貸住宅はできるだけシンプルにしたいと思っていることもあって、素っ気ないくらいで良いと思っている。
オーナー住戸は木工が趣味のオーナーのために、無垢の木の床にしたかったので、熊野ヒノキのフローリングを張ることとした。ヒノキのフローリングに合うよう、内装はオフホワイトを基調とした柔らかいものとした。
全体としてはシンプルでハードなイメージとなったが、オーナーの趣味が建物に反映されて徐々に地域に馴染んだ建物となっていくことを願っている。