この建物の敷地は最寄りのひばりが丘駅からは徒歩15分程のところにある。敷地は3方を道路に囲まれ、敷地の南側はT字路となっている。このT字路は交通量が少なく、周りの住宅に囲まれた広場のような空間のため、広場のようなT字路を小さな敷地の前の庭と捉えている。南側の玄関扉を大きな両開扉を開け放つと、玄関が通りのカフェのように街に対して開放された空間となる。
内装は外装の印象とは異なり、暖かさや楽しさを感じられるような空間となっている。天井を貼っていないため、内部からは梁としての杉が見え、床にも杉を張ることにより、木製構造の暖かさを感じられるような空間を作り出している。小さな家を1階から3階まで貫く階段はできるだけ開放的な構造とした。階段と生活空間との間に壁がないので、階段が上下階をゆるやかにつないでいる。
構造材料には日本の木材を使用している。特に柱と梁に使用されている杉は、日本では古くから多くの建物に使われている材料であるが、最近の日本の住宅には使われる事が少なくなっている。梁は天然乾燥された杉で、表面が非常に美しく、内装材としても非常に優れた材料である。日本の森をサスティナブルなものとするため、国産の材料を使う事が大切だと思う。
主要用途:戸建住宅
規模:木造3階建て
施工:(株)綜合建設
竣工年月日:2015.3
写真:栗原論