八町の住宅

生まれ故郷の三重県津市での初めてのお仕事でした。津市にUターンで移住するご夫婦のための小さなアトリエ付き住宅です。

津新町駅から徒歩15分程度の旧街道沿いの細長い敷地に計画された住宅です。敷地の中程には井戸があり、昔の建物はここに中庭を設けて手前と奥に分かれていたのだと思います。南側の入り口がアトリエの入り口となっています。

アトリエは床を下げて空間の高さを確保して、掃除がしやすいようにモルタルで仕上げています。熊野市の野地木材さんに用意してもらった三重県産の木材を使った建物なので、天井を張らずに構造体を見せています。

敷地が細長いため、敷地の中程はどうしても光を採り入れるのが難しくなります。昔は中庭を設けて光を採り入れていましたが、今回はリビングの天井高さを上げて高窓を設けることによって明るさを確保しました。高さを利用してロフトを設け、屋上へ出られるようになっています。

どうしても長い廊下ができてしまうので、廊下にデスクを設けてワークスペースとしました。床のフローリングはスギですが、デスクと本棚もスギ、開口部の枠もスギなので、空間全体として色と木目が統一されています。

奥はご主人の趣味の部屋。

北側は住宅の玄関となっています。庇を扉上部のみとし、シンプルな玄関扉とすることで住宅の入り口感が出ました。

アトリエと住宅の外壁を色を変えて貼り分けました。アルミサッシの色も笠木や水切りの色、ベントキャップの色、縦樋の色も変えました。面倒なことに付き合ってくれた工務店さんに感謝です。

出入口上部の照明器具が良い味を出してました。通りの新たな顔として素敵な空間になっていくのが楽しみです。