三重県鈴鹿市にある中勢自動車学校の建替プロジェクトの第三弾です。今回も三重県産のスギ・ヒノキを構造材や仕上材として用いた建物です。
三期棟は二輪教習用の建物で、この建物をもって中勢自動車学校の建替えプロジェクトは一旦終了となりました。
三期棟も一期、二期と同様にウッドデッキからのアプローチとなります。メインストリートを挟んだ歩廊の屋根を介して三つの棟がつながります。鉄骨の柱サイズをヒノキの柱と合わせて庇と柱の関係を変えないようにしています。
建物に入って最初に目に飛び込んでくるのは各棟に共通のヒノキ柱壁階段です。三期棟の階段はヒノキの柱壁が下部では展示台となるのですが、ヒノキが滝のように流れ落ちてくるように見えます。
エントランスを抜けると待合スペースがあります。ここで教習生は指導員さんから説明を聞きます。ホワイトボードで説明をするための壁が必要でしたので、採光と排煙は高窓からとなりました。この光を車庫まで届けるため、車庫と待合の壁の上部は全て窓にしました。
エントランスから車庫が見えるように設けた窓と車庫に光を届ける窓。
二輪車庫の柱には鈴鹿市産の柱を用いました。鈴鹿はあまり良い材は出ないと聞いていましたが、気になるほどの節ではありませんでした。バイクによって傷がつかないよう、柱の四隅をスチールのアングルで補強したところ、装飾的な面白さが出ました。
2階には二輪のシュミレーター室と多目的室、ディスカッション室があります。1階で展示台となっていたヒノキ柱壁は2階で腰壁となります。
ディスカッションルームも二期棟と同じデザインとしました。柱の間に扉が挟まってます。
一期棟から3年かかったプロジェクトですが、一期棟である程度決めたデザインを状況に合わせてアジャストしながら展開する作業は非常に楽しいものでした。
自動車教習所を木造で作る際に気を遣ったのは、木造の良さを生かしながら木造建築らしくないデザインとすることでした。外装材の選択から内部造作のディテールに至るまで、常に木とのバランスを考えていた気がします。
自動車学校を訪れた多くの方に木の良さを感じてもらえると嬉しいです。