木造建築に向き合う

10年ほど前から木造建築について自分なりに真摯に向き合ってみようと思うようになりました。とある林業家さんにお会いして、日本の林業についてのお話を伺ったたことがきっかけでした。

その際に「かいださん、木のことを知っている建築家は少ないから、これから木について勉強して建築をやっていくといいよ。」と言われたことが心の中でひっかかったからです。

木のことを勉強して建築をするというのは、そのまま受け止めると木の性質を知って木の特性を生かした使い方をするということだと思うのですが、それだけでなく林業や木材業界が盛り上がるような木の使い方をして欲しいと言われたような気がしました。

山で育てられ伐り出された木は、製材所で製材と乾燥を施されて初めて建材としての木材となります。人の手による見極めがないと質の良い木材とはなりません。木材は建築現場に到着するまでに多くの人の手がかかっています。

林業や木材の業界について知見を広げる中で、さまざまな方にお会いしてきました。必ずしも明るい未来のある業界ではない中で生き生きと頑張っている方がたくさんいます。こういう方々と一緒に仕事がしたいと思うようになりました。

建築は一人では作れません。多くの人が同じ目標を持って仕事をするのが建築で、これまでは施主を始め、現場の監督さんや職人さんが共に建築をつくるメンバーだと思ってきました。しかし木造建築に向き合うと、育林から製材に関わる人までもが一緒に建築を作るメンバーだと思えるようになりました。

木造建築に真摯に向き合うことは、単に構造体である木材の性質を知ることだけでなく、木材が多くの人の手によって作られたものであることを認識し、林業、木材業界も含めて同じ目標を持って建築を作ることなんじゃないかと思います。

2026年 春